選び方・比較

ストレスチェックを無料でできる範囲:公的支援と外部委託の違い

依
依田尚人

著者・監修 ・ YDAIコンサルティング株式会社 代表

9分
目次

ストレスチェックは、厚生労働省版の実施プログラムや地域産業保健センターを使って無料で進められる部分がありますが、実施者の手配や配信回収などは提供範囲を分けて確認します。無料という言葉だけで判断せず、事業場が自ら担うこと、公的支援で相談できること、産業保健サービスを提供する法人へ確認することを整理するのが出発点です。

とくに労働者数50人未満の事業場では、地域産業保健センターや産業保健総合支援センターの支援を確認できます。一方で、調査の配信や回収、実施者の体制、継続的な運用までを一つの支援メニューだとみなさず、必要な範囲を表にして確認します。

無料で使える公的支援を整理する

公的支援は、無料配布プログラム、相談、面接指導、事業場への支援など、目的ごとに内容が異なります。各支援が扱う範囲を分ければ、事業場の準備や外部機関への確認事項を混同しにくくなります。

実施プログラム・地域産業保健センター・産業保健総合支援センターで確認できる範囲を整理した図
実施プログラム・地域産業保健センター・産業保健総合支援センターで確認できる範囲を整理した図
支援確認できる主な範囲事業場側で確認すること
実施プログラム受検、個人結果の出力、集団分析等実施体制と利用期限
地域産業保健センター面接指導の相談、健康相談、個別訪問支援利用対象と相談内容
産業保健総合支援センター研修、相談、事業場への個別訪問支援必要なテーマと窓口

厚生労働省版実施プログラムでできること

厚生労働省版ストレスチェック実施プログラムは、受検、個人結果の出力、集団分析等に使える無料配布プログラムです。公式案内では、事業場で実施するためのプログラムとして示されているため、個人が自分だけで利用する診断サービスとして扱うものではありません。[出典:ストレスチェック実施プログラム、確認日:2026年9月5日]

プログラムを使う場合も、誰が実施者となるか、誰が実施事務に関わるか、結果をどのように通知するかは別に確認します。プログラムの有無と、実施体制の準備を同じものとして扱わないことで、役割分担を説明しやすくなります。

実施プログラムでできることと、実施体制として別に準備することを分けて示す図
実施プログラムでできることと、実施体制として別に準備することを分けて示す図

地域産業保健センターで相談できること

地域産業保健センターは、労働者数50人未満の小規模事業場の事業者と労働者に対し、原則無料で支援を提供しています。案内されている支援は、長時間労働者への医師による面接指導の相談、健康相談窓口、個別訪問による産業保健指導です。[出典:地域産業保健センター、確認日:2026年9月5日]

支援を検討するときは、事業場の人数と相談したい内容を窓口へ伝え、利用できる範囲を確認します。ストレスチェックの調査票を配信し、回収し、集計する代行メニューとしては扱わず、面接指導や相談の選択肢として分けて整理します。

産業保健総合支援センターの支援を確認する

産業保健総合支援センターは、全国47か所で、メンタルヘルス対策に関する研修や相談、事業場への個別訪問支援を無料で案内しています。地域産業保健センターとは支援内容が同じではないため、研修や導入の相談が必要なのか、面接指導の相談が必要なのかを分けて窓口を確認します。[出典:こころの耳 50人未満の事業場向け特設ページ、確認日:2026年9月5日]

複数の公的支援を使う場合も、同じ相談を重複して依頼するのではなく、目的と担当者を整理します。事業場内の担当者が、相談内容、利用予定の支援、次に確認する事項を記録しておくと、実施準備の進行を共有しやすくなります。

外部委託で確認する実施運用

公的支援の範囲を確認した後は、実施運用のうち何を外部機関へ確認するかを分けます。無料か有料かの二択ではなく、実施体制、実施方法、面接指導、情報管理といった範囲ごとに説明を受けることが重要です。

ストレスチェックの実施体制と配信回収を分けて確認する図
ストレスチェックの実施体制と配信回収を分けて確認する図

実施者と配信回収の範囲を分ける

小規模事業場向けの厚生労働省マニュアルは、外部機関へ説明を求める項目として、実施者や実施事務従事者を含む実施体制を挙げています。調査票の配布と回収、データ入力、個人結果の保存を誰が担うかも、実施体制の説明で確認する項目です。[出典:小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル第2章、確認日:2026年9月5日]

事業場側では、外部機関との契約や連絡を調整する担当者を決め、結果の内容を受け取る担当者とは役割を分けます。個人結果等の健康情報を事業場内で集める導線を作らず、必要な情報の流れを事前に確認することが大切です。

集団分析・面接指導・情報管理を分ける

集団分析は、ストレスチェックの結果を一定規模の集団ごとに集計し分析する取組です。小規模事業場向けマニュアルでは、集団分析と職場環境改善を努力義務と案内し、医師の面接指導は対象者から申出があった場合に行う流れを示しています。[出典:小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル第2章、確認日:2026年9月5日]

情報管理では、結果通知等の情報の流れ、保存の方法、問い合わせへの対応を説明項目に入れます。集団分析、面接指導、情報管理を一つの名称でまとめず、どこまでが契約の対象かを分けて確認すれば、追加の対応が必要になった場面でも説明の前提をそろえられます。

自事業場に合う進め方を確認する

進め方を決める際は、最初に公的支援の対象と範囲を確認し、その後に外部機関への確認項目を並べます。事業場ごとの人数、拠点、実施時期によって準備は変わるため、支援の名称だけで決めず、実際に担う作業を記録します。

無料支援と外部委託の確認表を作る衛生管理担当者
無料支援と外部委託の確認表を作る衛生管理担当者

無料支援と委託の確認表を作る

確認表には、利用する公的支援、相談する内容、事業場側の担当者、外部機関へ確認する事項を並べます。たとえば、実施プログラムは実施のための道具、地域産業保健センターは面接指導や相談の窓口、外部機関は実施体制や調査方法を確認する相手として分けます。

この表は、特定の法人サービスを評価するためのものではありません。担当者間で「誰が何を確認するか」を共有し、情報管理や連絡経路に抜けがないかを見直すために使います。

確認項目記録する内容
公的支援窓口、対象、相談するテーマ
実施体制実施者、実施事務、事業場側の連絡担当
実施方法調査票、配信回収、結果通知の方法
面接指導依頼先、連絡方法、利用条件
情報管理情報の流れ、保存、問い合わせ対応

費用が発生する範囲を明確にする

公的支援が原則無料であっても、事業場全体の実施運用について、すべての作業が支援の対象になるとは限りません。外部機関への説明依頼では、実施体制、実施方法、料金体系、面接指導、情報管理を分けて確認することが、厚生労働省マニュアルで示されています。[出典:小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル第2章、確認日:2026年9月5日]

金額を一般化して比較するのではなく、どの作業が提供範囲に含まれるかを確認します。標準的な範囲と追加の対応を分け、説明内容を記録しておけば、必要な準備と契約条件を同じ前提で見直せます。

実施範囲と情報管理を確認するストレスチェックの調査票
実施範囲と情報管理を確認するストレスチェックの調査票

まとめ

ストレスチェックを無料で進められる範囲には、実施プログラム、地域産業保健センターの相談、産業保健総合支援センターの研修や相談があります。実施体制、調査の配信回収、面接指導、情報管理は別々に確認し、支援の範囲と契約条件を混同しないことが重要です。

制度の規模別の考え方は50人未満のストレスチェック義務化、外部機関へ確認する項目はストレスチェック委託先の選び方、産業医契約の条件は産業医の費用で確認したい条件で詳しく整理しています。

実施手順に関する記事は選び方・比較にまとめています。掲載内容の訂正やサイトへの意見はお問い合わせから連絡できます。

よくある質問

Q. 無料の実施プログラムでは何ができますか?
厚生労働省版ストレスチェック実施プログラムは、受検、個人結果の出力、集団分析などに使える無料配布プログラムです。公式案内では、事業場で実施するものとされているため、実施者や実施事務の体制は別に確認して準備します。[出典:ストレスチェック実施プログラム、確認日:2026年9月5日] プログラムを使うことだけで、配信回収、面接指導、情報管理の役割が自動的に決まるわけではありません。事業場の担当者と外部機関の役割を表にして、必要な範囲を確認します。
Q. 地域産業保健センターでは何を相談できますか?
労働者数50人未満の小規模事業場では、地域産業保健センターで長時間労働者への医師による面接指導の相談、健康相談窓口、個別訪問による産業保健指導を原則無料で利用できます。利用対象や具体的な相談内容は、最寄りの窓口で確認してください。[出典:地域産業保健センター、確認日:2026年9月5日] これはストレスチェックの配信、回収、集計を代行するメニューではありません。実施運用の作業は、支援の範囲と分けて確認します。
Q. 外部委託が必要になるのはどのような部分ですか?
実施者の手配、全従業員への調査配信と回収、継続的な運用などは、公的支援の提供範囲と分けて確認します。外部機関には、実施体制、実施方法、料金体系、面接指導、情報管理について説明を求めることが、厚生労働省マニュアルで示されています。[出典:小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル第2章、確認日:2026年9月5日] どの範囲を外部機関へ依頼するかは、事業場の体制に応じて決めます。個人の健康情報を入力させる問い合わせ導線ではなく、法人としての実施体制と提供範囲を確認する形にします。

出典

  1. 1.
  2. 2.
  3. 3.
  4. 4.