法令・制度解説

50人未満のストレスチェック義務化はいつから?2028年4月1日を解説

依
依田尚人

著者・監修 ・ YDAIコンサルティング株式会社 代表

9分
目次

50人未満の事業場にも、ストレスチェックの実施義務は2028年4月1日から広がります。現在は常時50人以上の労働者を使用する事業場が実施義務の対象で、50人未満の事業場は当分の間、努力義務です。制度の変更では、会社全体の従業員数ではなく、事業場ごとの規模と運用を確認することが出発点になります。

この記事では、施行日が確定した根拠、産業医の選任義務との違い、準備時に分けて確認したい項目を整理します。法令と公式資料の確認日は2026年9月5日です。

50人未満のストレスチェック義務化は2028年4月1日から

ストレスチェックは、労働者の心理的な負担の程度を把握するための検査です。2028年4月1日には、現行の努力義務を置く規定が削除され、事業場規模を問わない実施義務へ移ります。

確認する点2026年9月5日時点2028年4月1日以降
50人未満の事業場での実施当分の間、努力義務実施義務
50人以上の事業場での実施実施義務実施義務
産業医の選任義務常時50人以上が対象常時50人以上が対象
2028年4月1日のストレスチェック義務化を事業場単位で示す図
2028年4月1日のストレスチェック義務化を事業場単位で示す図

現行と施行後を比べる早見表

労働安全衛生法第66条の10は、心理的な負担の程度を把握するための検査等を定めています。現行の労働安全衛生法附則第4条は、同法第13条第1項の事業場以外について、第66条の10第1項の「行わなければ」を「行うよう努めなければ」と読み替えます。労働安全衛生法施行令第5条により、第13条第1項の事業場は常時50人以上の労働者を使用する事業場です。[出典:労働安全衛生法第66条の10・附則第4条、労働安全衛生法施行令第5条、確認日:2026年9月5日]

2028年4月1日以降は、この附則第4条が削除されます。そのため、50人未満という区分だけを理由に実施を努力義務として扱う仕組みはなくなります。実施の頻度や結果の取扱いなど、制度の内容そのものも事業場ごとに整理しておく必要があります。

施行日が確定した法令上の根拠

改正の根拠は、2025年5月14日に公布された「労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律」(令和7年法律第33号)です。同法附則第1条第6号は、労働安全衛生法附則第4条を削る改正規定の施行日を政令で定める仕組みとしました。[出典:労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律(令和7年法律第33号)、確認日:2026年9月5日]

その施行日は、「労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律の一部の施行期日を定める政令」(令和8年政令第195号)により2028年4月1日と定められています。同政令は同法附則第1条第7号について2030年4月1日も定めていますが、こちらは化学物質の通知義務等に関する規定です。ストレスチェックの全規模化に関係するのは第6号です。[出典:令和8年政令第195号、確認日:2026年9月5日]

改正法の公布日と、附則第1条第6号・第7号に対応する施行日を示す図
改正法の公布日と、附則第1条第6号・第7号に対応する施行日を示す図

対象は企業全体ではなく事業場ごとに確認する

義務の対象を確認するときは、企業の総人数だけで結論を出さず、工場、事務所、店舗などの事業場ごとに状況を整理します。場所的に分かれた職場では、同じ企業に属していても別個の事業場として考えるのが原則です。

現行の努力義務が置かれている仕組み

労働安全衛生法附則第4条は「第十三条第一項の事業場以外の事業場」という表現で、現行の読替えを置いています。条文に「50人未満」と直接書かれているわけではなく、施行令第5条の常時50人以上という規模要件と結び付く構造です。条文上の仕組みを押さえると、企業単位で一律に判断する説明を避けられます。[出典:労働安全衛生法附則第4条、労働安全衛生法施行令第5条、確認日:2026年9月5日]

厚生労働省「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」も、工場、事務所、店舗など同一場所にあるものを一の事業場として考える旨を示しています。多拠点の場合は、所在地ごとの体制、対象者、報告の要否を別々に確認することが実務上の基本です。[出典:厚生労働省「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」p.6、確認日:2026年9月5日]

産業医選任義務とは別に考える理由

産業医の選任は、労働安全衛生法第13条第1項と労働安全衛生法施行令第5条により、常時50人以上の労働者を使用する事業場に求められます。2028年4月1日にストレスチェックの実施義務が全事業場へ広がっても、産業医選任義務の規模要件を変える規定は確認されていません。二つの制度を同じ拡大として扱わないことが重要です。[出典:労働安全衛生法第13条第1項、労働安全衛生法施行令第5条、令和7年法律第33号、確認日:2026年9月5日]

産業医の未選任は同法第120条第1号の罰則規定の対象ですが、ストレスチェックを実施しないこと自体には同条で直接の罰則は置かれていません。直ちに罰金となる説明ではなく、行政指導→勧告→命令という手順を踏まえる形で、義務と罰則規定を区別して確認します。[出典:労働安全衛生法第120条、確認日:2026年9月5日]

ストレスチェックと産業医選任の規模要件を分けて示す図
ストレスチェックと産業医選任の規模要件を分けて示す図

準備で確認したい実施運用の要点

2028年4月1日までの準備は、実施の可否だけでなく、誰が実施し、結果を誰が扱い、どこまで報告するかを分けて進めます。制度変更の確認日を記録しておくと、将来の改正や公式案内の更新にも対応しやすくなります。

実施者と健康情報の取扱いを分ける

労働安全衛生規則第52条の10は、医師、保健師などを実施者として定め、人事権を直接持つ監督的地位の者が検査の実施事務に従事することを禁じています。また、労働安全衛生法第66条の10第2項は、本人の同意なしに検査結果を事業者へ提供することを禁じます。担当の役割と個人結果の流れを事前に区別することが必要です。[出典:労働安全衛生規則第52条の10、労働安全衛生法第66条の10第2項、確認日:2026年9月5日]

小規模事業場向けの公式マニュアルは、プライバシー保護の観点から原則として外部委託による実施を推奨し、個人結果等の健康情報を外部機関で完結させる形を示しています。どの体制でも、事業者が必要な範囲を超えて個人結果を扱わない設計を確認します。[出典:厚生労働省「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」§2、確認日:2026年9月5日]

実施者と事業者の健康情報の取扱いを分ける図
実施者と事業者の健康情報の取扱いを分ける図

労基署報告の要否を別に確認する

ストレスチェックの実施義務と、労働基準監督署への結果報告の義務は同じではありません。労働安全衛生規則第52条の21は、常時50人以上の労働者を使用する事業者に、1年以内ごとに1回、定期に報告することを求めています。50人未満の事業場に実施義務が広がった後も、同規則の報告範囲は別に確認します。[出典:労働安全衛生規則第52条の21、確認日:2026年9月5日]

厚生労働省の小規模事業場向けマニュアルは、50人未満の事業場は実施結果の労働基準監督署への報告が不要であると明記しています。報告の基準となる常時使用する労働者の数え方は受検対象者の基準と異なるため、対象者数だけで報告の要否を判断しないようにします。[出典:厚生労働省「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」p.6、確認日:2026年9月5日]

確認日を残して制度変更に備える

今回の施行日は、改正法の公布時点で「公布の日から起算して三年を超えない範囲内において政令で定める日」とされ、その後に政令第195号で確定しました。このように、法律と政令で確認すべき時点が分かれる制度では、参照した資料名と確認日を社内の確認記録に残すことが有用です。[出典:令和7年法律第33号附則第1条第6号、令和8年政令第195号、確認日:2026年9月5日]

2026年9月5日時点で、50人未満の事業場だけに置かれた個別の猶予期間は確認されていません。制度の内容は公的資料の更新を見ながら確認し、個別の適用判断が必要な場合は所管窓口や専門家に確認してください。

制度確認日と事業場ごとの準備項目を整理する図
制度確認日と事業場ごとの準備項目を整理する図

まとめ

50人未満の事業場へのストレスチェック実施義務は、2028年4月1日から始まります。判断の単位は会社全体ではなく事業場であり、ストレスチェックの実施、産業医の選任、労基署報告は別々に確認する必要があります。

制度の記載に関する訂正や質問は、お問い合わせから連絡できます。法令・制度に関する記事は法令・制度解説にまとめ、当サイトの情報の扱いは情報の収録基準と運営方針で案内しています。

よくある質問

Q. 50人未満の事業場は現時点でも実施が必要ですか?
2026年9月5日時点では、産業医の選任義務がある事業場以外について、ストレスチェックは努力義務です。2028年4月1日に労働安全衛生法附則第4条が削除されることで、規模を問わない実施義務へ移ります。[出典:労働安全衛生法附則第4条、労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律(令和7年法律第33号)、令和8年政令第195号、確認日:2026年9月5日]
Q. 2028年4月以降に産業医の選任も必要になりますか?
ストレスチェックの実施義務が広がった後も、産業医の選任義務は常時50人以上の労働者を使用する事業場にかかる整理です。ストレスチェックと産業医選任は、同じ規模要件へ広がる制度ではありません。[出典:労働安全衛生法第13条第1項、労働安全衛生法施行令第5条、令和7年法律第33号、確認日:2026年9月5日]
Q. 50人の判断は会社全体の人数で行いますか?
制度の適用単位は原則として事業場です。工場、事務所、店舗など同一場所にあるものを一の事業場として考え、場所的に分散している場合は別個の事業場として扱います。[出典:厚生労働省「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」p.6、確認日:2026年9月5日]

出典

  1. 1.
  2. 2.
  3. 3.
    労働安全衛生法(laws.e-gov.go.jp)
  4. 4.
    労働安全衛生法施行令(laws.e-gov.go.jp)
  5. 5.
    労働安全衛生規則(laws.e-gov.go.jp)
  6. 6.