選び方・比較

ストレスチェックの実施体制を作る方法:担当者と情報管理の役割

依
依田尚人

著者・監修 ・ YDAIコンサルティング株式会社 代表

8分
目次

ストレスチェックの実施体制は、事業者、実務担当者、実施者、実施事務従事者の役割と健康情報の流れを分けて設計します。最初に役割を決めておくと、委託先との連絡、結果通知、情報の保存をそれぞれ誰が担うかを説明しやすくなります。

体制づくりでは、検査結果を扱う役割と、事業場側で連絡調整をする役割を混同しないことが重要です。厚生労働省の小規模事業場向けマニュアルと労働安全衛生規則に沿って、基本となる確認順を整理します。

実施体制に必要な四つの役割

実施体制は、事業場内の事業者・実務担当者と、検査を担う実施者・実施事務従事者に分けて考えます。厚生労働省のマニュアルは、事業者を実施責任者、実務担当者を委託先との契約・連絡調整の担当として整理しています。[出典:厚生労働省「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」第2章、確認日:2026年9月5日]

役割主な担当範囲
事業者方針表明、実施計画、実施責任者としての判断
実務担当者委託先との契約、連絡調整、社内の案内
実施者医師、保健師などによる検査の実施
実施事務従事者調査票の配布・回収、データ入力、個人結果の保存
四つの役割を分けて実施体制を確認する担当者
四つの役割を分けて実施体制を確認する担当者

事業者と実務担当者の役割を分ける

事業者は実施責任者として、実施の方針と計画を示します。実務担当者は、委託先との契約や連絡調整を担い、対象者への案内に必要な事務を整えます。[出典:厚生労働省「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」第2章、確認日:2026年9月5日]

役割を分ける際は、事業者が決める事項と、実務担当者が連絡する事項を文書で残します。実施時期、調査方法、問い合わせ窓口、外部機関へ渡す連絡情報を整理すると、社内の説明にも一貫性が出ます。

実施者と実施事務従事者の役割を分ける

実施者は、労働安全衛生規則第52条の10第1項で定める医師、保健師などが担います。実施事務従事者は、調査票の配布・回収、データ入力、個人結果の保存を担うため、担当する作業範囲をあらかじめ確認します。[出典:労働安全衛生規則第52条の10第1項、厚生労働省「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」第2章、確認日:2026年9月5日]

外部機関へ委託する場合でも、事業場側に必要な連絡調整は残ります。誰がどの問い合わせを受け、どの情報を外部機関へ伝えるかを決めることで、実施者の判断と事務連絡を区別できます。

実施者と実施事務従事者の役割を確認する担当者
実施者と実施事務従事者の役割を確認する担当者

健康情報を扱う範囲を決める

健康情報の取扱いでは、検査結果を誰が扱い、どこで保管するかを明確にします。労働安全衛生法第66条の10第2項は、本人の同意なく事業者へ結果を提供してはならないと定めています。[出典:労働安全衛生法第66条の10第2項、確認日:2026年9月5日]

小規模事業場向けマニュアルは、個人結果などの健康情報を外部機関で扱い、事業場内で取り扱わない形を示しています。事業場側で扱う連絡情報と、実施者側で扱う検査結果を分けて記録します。[出典:厚生労働省「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」第2章、確認日:2026年9月5日]

健康情報と連絡情報の流れを分けて整理する担当者
健康情報と連絡情報の流れを分けて整理する担当者

本人同意のない結果提供を避ける

本人の同意がない検査結果を、事業者が受け取る前提で体制を組まないことが必要です。結果通知の経路、事業場側に伝わる情報、保存する場所を実施前に確認し、個人結果を扱う役割を限定します。[出典:労働安全衛生法第66条の10第2項、確認日:2026年9月5日]

外部機関へ説明を求める際は、個人結果の通知方法、保存方法、問い合わせへの対応範囲を確認します。事業場内で扱う情報を最小限にすることで、実務担当者の役割も明確にできます。

人事権を持つ者の関与を確認する

解雇、昇進、異動に直接の権限を持つ監督的地位の者は、検査の実施の事務に従事してはなりません。これは労働安全衛生規則第52条の10第2項に定められており、担当者を決める際に先に確認する必要があります。[出典:労働安全衛生規則第52条の10第2項、確認日:2026年9月5日]

体制図には、実施責任者、連絡調整担当、実施者、実施事務従事者を分けて記載します。人事上の直接権限の有無を確認したうえで、実施事務を担う人を選びます。

外部機関で結果を扱う流れを確認する

外部機関が結果を扱う場合は、配布・回収、データ入力、結果通知、保存の流れを確認します。厚生労働省のマニュアルは、個人結果などの健康情報の取扱いを外部機関で完結させる形を示し、紙の調査票や結果通知を密封した状態で実務担当者が取り次ぐ方法も示しています。[出典:厚生労働省「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」第2章、確認日:2026年9月5日]

社内では、委託先への連絡と、結果の内容に触れない事務連絡を分けます。保存場所や閲覧できる範囲が変わる場合は、実施前の説明内容と照合します。

体制を文書化するときの確認順

体制の文書化では、誰が何をするかだけでなく、どの順で連絡するかを記録します。実施前に全体の流れを確認すると、後から担当者が変わった場合にも、必要な範囲を引き継ぎやすくなります。

委託先の比較軸を先に確認したい場合は、ストレスチェック委託先の選び方を参照してください。費用条件を整理する際は、ストレスチェック費用の仕組みとあわせて確認できます。

実施方法と連絡経路を文書に整理する担当者
実施方法と連絡経路を文書に整理する担当者

実施方法と連絡経路を記録する

文書には、実施時期、調査方法、実施者、実施事務従事者、社内の連絡窓口を記載します。結果通知や問い合わせの経路も併記し、事業場側が扱う情報と外部機関が扱う情報を分けます。

連絡経路を定める際は、担当者が不在の場合の引継ぎ先も確認します。実施のたびに同じ内容を見直すことで、実務の変更と体制図のずれを抑えられます。

文書は、担当者名だけでなく役割名でも確認できる形にします。担当者が交代したときは、委託先への連絡先、結果通知の経路、保存に関する説明が変わっていないかを見直します。

社内の案内文と外部機関からの説明で表現が異なる場合は、役割分担に戻って整理します。誰が回答する問い合わせかをあらかじめ決めておくと、検査の内容に関わる問い合わせを実務担当者だけで扱わずに済みます。

委託先の説明内容と照合する

委託先から受けた説明と、社内で作成した体制図を照合します。実施体制、調査方法、料金体系、面接指導、情報管理の説明が、社内の役割分担と一致しているかを確認します。[出典:厚生労働省「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」第2章・巻末資料「サービス内容事前説明書」、確認日:2026年9月5日]

説明内容に変更がある場合は、誰が連絡を受け、どの文書を更新するかを決めます。制度上の対象や報告の要否を確認する際は、50人未満のストレスチェック義務化も確認してください。

委託先の説明内容と社内体制を照合する担当者
委託先の説明内容と社内体制を照合する担当者

まとめ

ストレスチェックの実施体制は、事業者、実務担当者、実施者、実施事務従事者の役割を分け、健康情報の流れを明確にしてつくります。実施方法と連絡経路を文書化し、委託先の説明内容と照合することで、情報管理と日常の事務を切り分けやすくなります。

関連記事として、ストレスチェック委託先の選び方、ストレスチェック費用の仕組み、50人未満のストレスチェック義務化を確認できます。制度や掲載内容へのご意見はお問い合わせへ、カテゴリ一覧は選び方・比較をご覧ください。

よくある質問

Q. 実施責任者と実施者は同じ人ですか?
事業者は実施責任者として方針表明と実施計画を担い、実施者は医師、保健師などが検査を担う整理です。実務担当者は委託先との契約・連絡調整を担います。[出典:厚生労働省「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」第2章、確認日:2026年9月5日]
Q. 人事権を持つ人は実施事務に関われますか?
解雇、昇進、異動に直接の権限を持つ監督的地位の者は、検査の実施の事務に従事してはならないとされています。担当者を決める際は、実際の権限の範囲を確認します。[出典:労働安全衛生規則第52条の10第2項、確認日:2026年9月5日]
Q. 個人結果は誰が保管しますか?
小規模事業場向けマニュアルは、個人結果などの健康情報の取扱いを外部機関で完結させ、事業場内で取り扱わない形を示しています。委託する場合は、保存方法と結果通知の経路を事前に確認します。[出典:厚生労働省「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」第2章、確認日:2026年9月5日]

出典

  1. 1.
  2. 2.
    労働安全衛生規則(laws.e-gov.go.jp)
  3. 3.
    労働安全衛生法(laws.e-gov.go.jp)