50人未満で初めてストレスチェックを実施する流れ:担当者が確認すること
著者・監修 ・ YDAIコンサルティング株式会社 代表
目次
50人未満の事業場で初めてストレスチェックを実施するときは、受検案内を出す前に、事業場内で担う連絡業務と、実施者または外部機関が担う業務を分けて決めることが重要です。個人結果の経路や面接指導の申出先まで含めて準備すると、初回でも担当者の判断を一か所に集中させずに進められます。
厚生労働省の「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル(令和8年2月公表)」は、小規模事業場での体制づくりや外部機関との役割分担を説明しています。2026年9月21日に確認した内容をもとに、初回に確認する順番を整理します。
| 初回実施の段階 | 事業場内の役割 | 外部機関または実施者の役割 | 確認資料 |
|---|---|---|---|
| 準備 | 対象者と連絡担当の整理 | 実施体制の説明 | 体制表 |
| 実施前 | 受検案内の周知 | 調査票と受検方法の説明 | 事前説明書 |
| 結果通知 | 問い合わせ先の案内 | 本人への結果通知 | 通知方法の案内 |
| 実施後 | 申出窓口と記録の確認 | 面接指導の調整 | 年間予定表 |
初回の小規模事業場で先に決めること
事業場と対象範囲を切り分ける
最初に、どの場所を一つの事業場として扱い、どの労働者へ案内するかを確認します。本社と店舗、工場、営業所のように勤務場所が分かれている場合は、会社全体の人数だけでは実施の担当や連絡先を決められません。所在地、勤務する人、管理する担当、実施予定月を一覧にして、案内の届く範囲を確認します。
初回は、対象者の名簿を細かく作り込む前に、更新する担当と時期を決めることが大切です。入退社や異動がある場合は、案内を出す直前に対象範囲を見直す予定を置きます。勤務場所ごとに連絡担当が異なるなら、誰が受検案内を届け、誰が問い合わせを受けるかを表に記しておくと、周知の漏れを見つけやすくなります。
対象範囲の確認では、勤務先の所在地、雇用の状況、実施時点の在籍状況を混ぜて記録しないことも大切です。制度の対象者を最終的に判断するための情報と、案内を届けるための連絡先は、目的が異なります。確認表では列を分け、変更があった場合に誰が更新するかを決めると、初回の準備中に情報が古くなることを防ぎやすくなります。

外部機関と役割を分ける
事前説明書で確認する項目を並べる
外部機関へ依頼する場合は、契約前の説明で何を確認するかを事業場内でそろえます。実施者の体制、調査票の方式、受検案内の流れ、結果通知、面接指導、情報管理、料金の条件は、別々の担当者が聞くと確認内容がばらつきやすい項目です。質問の一覧を作り、回答を残せる形にしておくと、初回の比較や承認を進めやすくなります。
説明を受ける際は、外部機関に任せる作業だけでなく、事業場内に残る連絡業務を確認します。たとえば、対象者への案内、受検期間の周知、相談先の掲示、面接指導の申出先は、現場の状況に合わせた対応が必要です。担当者が結果の内容を受け取らずに日程や連絡を調整する方法も、事前に共有します。
説明書を受け取った後は、確認した日、説明を受けた人、未決定の項目を一枚にまとめます。実施開始日だけを決めてから細部を確認すると、受検案内を急いで修正することになりがちです。事業場内の担当者が持ち帰る事項と、外部機関へ再確認する事項を分けておくと、次の打合せまでに判断が止まる部分を減らせます。

個人結果を扱う経路を確認する
個人結果は、本人へ通知されることが基本です。事業場が結果を受け取る場面では、本人の同意が関わるため、案内時から通知と同意の経路を分けて説明します。担当者が誰から何を受け取るかを曖昧にすると、問い合わせへの対応中に必要のない情報を受け取るおそれがあります。
外部機関と事業場の間で、封をした通知をどのように渡すか、Web受検画面への案内を誰が送るか、質問をどこへつなぐかを確認します。個人結果を扱う担当を増やすことが目的ではなく、受検者が結果を確実に受け取り、必要な相談先を知るための経路を設けることが目的です。案内文の見本を確認し、連絡先の役割を区別します。
連絡先の表示では、受検方法の質問、結果の受け取り方、面接指導の申出に関する問い合わせを一つの連絡先に集めるか、役割ごとに分けるかを選びます。どちらの方法でも、担当者が回答できない内容を受けたときの引継ぎ先が明確なら、受検者を待たせにくくなります。案内文と担当者向けの連絡手順を同時に確認することが、初回の混乱を減らします。

開始から振り返りまでの流れ
受検案内と結果通知の担当を決める
受検案内では、対象者、受検期間、方法、問い合わせ先を分かりやすく伝えます。初回は質問が集まりやすいため、受検方法の質問と個人結果に関する質問を同じ人が判断しないよう、問い合わせの振り分けを決めます。案内を出す前に、問い合わせを受けた担当がどの範囲まで回答するかを共有しておくと、受検者への説明をそろえられます。
結果通知の時期になったら、本人が受け取る方法と、面接指導を希望する場合の申出先を改めて知らせます。受検の完了だけを確認して終わらせず、結果通知が始まる日、相談先、申出の連絡方法を年間予定表に入れます。複数の勤務場所がある場合は、各拠点で案内が届いたかを連絡担当に確認します。
受検期間の途中では、未受検者の個別状況を追う担当と、全体の案内を担当する人を分ける方法があります。案内の再周知が必要な場合も、結果や回答内容に触れず、受検期間と問い合わせ先を知らせる形にします。実施の進み具合を共有する会議では、必要な人数や日程だけを扱い、個人結果を議題にしない進め方が適しています。
案内の準備では、紙の配布、メール、掲示など、事業場で使う連絡方法を事前に決めます。勤務時間や勤務場所が異なる人がいる場合は、同じ時刻に同じ案内を確認できるとは限りません。受検開始前に案内経路を試し、連絡が届かなかった場合の再周知方法を担当者間で共有すると、初回でも予定どおりに進めやすくなります。

面接指導の申出先と記録を確認する
高ストレス者で医師等が面接指導を必要と認めた場合、本人の申出があれば面接指導を行います。初回に大切なのは、申出の連絡先を受検案内とは別に分かりやすくし、申出を受けた人が個人結果の詳細を聞き取らない流れを作ることです。日程調整を担う人と、医師による面接を担う人の役割も分けて確認します。
面接指導後は、労働安全衛生規則第52条の18第1項により結果の記録を5年間保存します。保存先や閲覧できる担当、担当者が変わる場合の引継ぎ方法を、実施前の段階で決めておくと安心です。初回の終了後には、案内の伝わり方、問い合わせの内容、日程調整の負担を振り返り、次回の予定へ反映します。
振り返りの場では、受検者からの質問を個人別に列挙するのではなく、案内文で補足が必要だった点や、連絡先の分かりにくさを確認します。実施者や外部機関との連絡に時間がかかった場面があれば、翌年の予定表で前倒しする日を決めます。初回の記録を次回の準備資料として残すことで、担当者が変わっても同じ確認を繰り返しやすくなります。
初回の終了後に残すのは、受検者ごとの評価ではなく、運用の手順です。誰がいつ案内したか、どの窓口へ問い合わせをつないだか、外部機関との確認で決まった事項を整理しておくと、翌年に制度を説明する時間を短くできます。実施を一回限りの行事にせず、年間の衛生管理の予定へ組み込むことが、継続した体制づくりにつながります。

まとめ
初めてのストレスチェックでは、対象者を確認してから、外部機関との役割、結果通知、面接指導、記録保存を順に決めます。個人結果を扱う経路と連絡業務を分けた体制にすると、受検者への案内と担当者の判断を整理しやすくなります。
50人未満の事業場における制度の考え方、実施体制の整理、外部委託で確認する項目もあわせて確認してください。
よくある質問
- Q. 50人未満でも外部委託はできますか
- できます。小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアルでは、外部機関の活用を含む実施体制の考え方が示されています。依頼する前に、実施者の体制、受検方法、結果通知、面接指導、情報管理、料金条件と、事業場内で担う連絡業務を確認します。
- Q. 事業場内の担当者は何を担いますか
- 対象者への案内、受検期間の周知、問い合わせの振り分け、申出窓口の案内、年間予定の管理などを担います。個人結果の内容を判断する役割とは分け、実施者または外部機関との連絡を円滑にする担当として、連絡先と不在時の引継ぎ先を明確にします。
- Q. 個人結果は会社で保管しますか
- 結果の扱いは、本人への通知と事業者への提供を分けて確認します。本人の同意を得て事業者が受け取る場合と、それ以外の場合では記録の経路が異なるため、事業場内で受け取る情報、保存する担当、外部機関との役割分担を実施前に確認します。
出典
本記事の出典は に内容を確認しています。
- 1.小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル(mhlw.go.jp)
- 2.労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)(laws.e-gov.go.jp)
- 3.労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)(laws.e-gov.go.jp)