ストレスチェックの労基署報告は50人未満で必要?対象と電子申請を解説
著者・監修 ・ YDAIコンサルティング株式会社 代表
目次
労働者数50人未満の事業場は、ストレスチェックの実施結果を労働基準監督署へ報告する必要がありません。2028年4月1日に実施義務が全事業場へ広がった後も、この報告義務の範囲は変わりません(2026年9月6日確認時点の法令・公式資料による)。
一方で、報告の要否を判断する人数は、ストレスチェックの受検対象者の数え方と同じではありません。常時50人以上の労働者を使用する事業場では、年1回の定期報告と、電子申請を原則とする提出方法を確認します。
50人未満の事業場は労基署報告が不要
ストレスチェックの実施義務と、労働基準監督署への結果報告義務は別の制度要件です。50人未満の事業場でも2028年4月1日から実施義務は生じますが、結果報告については現時点の規則と公式マニュアルで別の対象範囲が示されています。
| 確認する事項 | 50人未満の事業場 | 常時50人以上の労働者を使用する事業場 |
|---|---|---|
| 2028年4月1日以降の実施 | 必要 | 必要 |
| 労基署への実施結果報告 | 不要 | 必要 |
| 人数判断 | 事業場ごとに確認 | 事業場ごとに確認 |

実施義務と報告義務を分ける早見表
労働安全衛生規則第52条の21は、常時50人以上の労働者を使用する事業者に、検査及び面接指導の結果等を所轄労働基準監督署長へ報告することを求めています。これはストレスチェックを実施するすべての事業場に報告を求める条文ではありません。実施を行うかと、実施結果を報告するかは、それぞれの根拠で判断します。[出典:労働安全衛生規則第52条の21、確認日:2026年9月5日]
2025年5月14日公布の令和7年法律第33号による50人未満の事業場への実施義務の拡大は、労働安全衛生法附則第4条を削除する改正規定に関するものです。報告対象を50人未満へ広げる省令改正は、2026年9月6日時点で確認されていません。実施義務が広がることだけを根拠に、報告も必要になると扱わないようにします。[出典:令和7年法律第33号、労働安全衛生規則第52条の21、確認日:2026年9月6日]
小規模事業場向けマニュアルの明記
厚生労働省「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」は、ストレスチェックの実施結果の労働基準監督署への報告について、労働者数50人以上の事業場に義務付けられ、50人未満の事業場は不要であると明記しています。制度の説明では、この公式資料と労働安全衛生規則第52条の21を併記すると、実施と報告の違いを整理しやすくなります。[出典:厚生労働省「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」p.6、労働安全衛生規則第52条の21、確認日:2026年9月5日]
ただし、「50人未満」は受検対象者だけを数えた結果ではありません。報告の要否は、常態として使用している労働者の数を基準に判断します。後述する人数の確認を行ったうえで、事業場ごとに報告の要否を決めます。

50人以上で必要になる報告の条件
常時50人以上の労働者を使用する事業者は、結果等を年1回、定期に報告します。提出方法は電子申請が原則ですが、現在は書面報告を認める経過措置も並行して確認する必要があります。
年1回の定期報告と提出先
労働安全衛生規則第52条の21は、1年以内ごとに1回、定期に、検査及び面接指導の結果等を所轄労働基準監督署長へ報告することを定めています。記載事項は、労働保険番号、事業場情報、常時使用する労働者数、対象期間と検査実施年月、受検者数と面接指導を受けた労働者数などです。[出典:労働安全衛生規則第52条の21、確認日:2026年9月5日]
さらに、検査を実施した者の区分、面接指導を実施した医師の区分、集団分析の実施の有無、産業医情報、報告年月日と事業者の職氏名も同条に掲げられています。個々の入力画面の案内に頼るのではなく、報告前に同条の10項目を照合することで、記載漏れを減らせます。
電子情報処理組織を使用する報告方法
労働安全衛生規則第52条の21は、電子情報処理組織を使用して報告することを定めています。関連する手続は2025年1月1日から電子申請が原則義務化されており、ストレスチェック報告も対象です。[出典:労働安全衛生規則第52条の21、厚生労働省「労働安全衛生関係の一部の手続の電子申請が義務化されます」、確認日:2026年9月6日]
ただし、じん肺法施行規則等の一部を改正する省令(令和6年厚生労働省令第45号)附則第2条は、改正前の労働安全衛生規則第52条の21及び様式第6号の3について、当分の間、なお従前の例によることができるとしています。基発0328第15号も、電子申請を行う環境が整っていない場合を想定し、当分の間は経過措置として書面による報告を行うことができるとしています。[出典:じん肺法施行規則等の一部を改正する省令附則第2条、基発0328第15号第3の1のウ、確認日:2026年9月6日]

人数判断で迷いやすいポイント
報告の基準となる50人と、ストレスチェックの対象者を決める基準は目的が異なります。短時間勤務者や派遣労働者を含めるかで迷う場合は、契約の種類だけで結論を出さず、常態として使用しているかを事業場単位で確認します。
対象者数と報告要否の人数は異なる
ストレスチェックの対象者は、契約期間と週労働時間の要件で判断します。一方、労基署報告の要否は、ストレスチェックの対象者と同じ基準ではなく、常態として使用している労働者が50人以上かで判断します。対象者が50人未満でも、報告の基準では50人以上となる場合があります。[出典:厚生労働省「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」p.6、確認日:2026年9月5日]
この違いを確認しないと、受検対象者の名簿だけで報告不要と判断してしまうおそれがあります。受検対象者の判定と、報告要否の人数確認は、別の一覧で行うと区別しやすくなります。
短時間のパート・アルバイトをどう数えるか
報告要否の基準では、労働時間数が短いパートタイム労働者やアルバイトでも、継続して雇用し常態として使用していれば数に含めます。派遣先で常態として使用している派遣労働者も、報告要否の人数を考える際には含める必要があります。[出典:厚生労働省「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」p.6、確認日:2026年9月5日]
一時的な人数の増減だけを見るのではなく、事業場で通常どのように労働者を使用しているかを確認します。雇用形態の名称だけで除外せず、継続性と使用の実態を確認することが重要です。

事業場ごとに確認する手順
事業場は原則として、工場、事務所、店舗など同一場所にあるものを一の単位として考えます。同一企業でも場所的に分散している場合は別個の事業場となるため、報告の要否も所在地ごとに確認します。[出典:厚生労働省「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」p.6、確認日:2026年9月5日]
確認では、所在地ごとに常態として使用する労働者を整理し、50人以上かを判断してから、対象期間と報告事項を照合します。記載漏れや虚偽の報告は労働安全衛生法第100条第1項と第120条第5号の対象ですが、直ちに罰金となる説明ではなく、行政指導→勧告→命令という手順を踏まえて整理します。[出典:労働安全衛生法第100条第1項・第120条第5号、確認日:2026年9月5日]

まとめ
ストレスチェックの労基署報告は、常時50人以上の労働者を使用する事業場に必要です。50人未満の事業場では、2028年4月1日から実施義務が広がっても、現時点では結果報告の対象になりません。
義務化の時期は50人未満のストレスチェック義務化で確認できます。制度の全体像は法令・制度解説で整理し、記載の訂正や質問はお問い合わせから連絡できます。
よくある質問
- Q. 50人未満でも労基署へ報告する場面はありますか?
- 2026年9月6日時点で、ストレスチェックの実施結果について、労働者数50人未満の事業場は労基署への報告が不要です。実施義務の対象範囲と報告義務の対象範囲は別に確認します。[出典:令和7年法律第33号、労働安全衛生規則第52条の21、厚生労働省「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」p.6、確認日:2026年9月6日]
- Q. 対象者が50人未満なら報告は不要ですか?
- 報告の要否は、ストレスチェックの対象者基準ではなく、常態として使用している労働者が50人以上かで判断します。対象者が50人未満でも、短時間勤務者などを含めた常時使用の人数が50人以上なら報告が必要になる場合があります。[出典:厚生労働省「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」p.6、確認日:2026年9月5日]
- Q. 報告は毎年どの方法で行いますか?
- 常時50人以上の労働者を使用する事業者は、1年以内ごとに1回、定期に、電子情報処理組織を使用して所轄労働基準監督署長へ報告します。電子申請は2025年1月1日から原則義務化されていますが、当分の間は経過措置により従前の様式第6号の3による書面報告も可能です。[出典:労働安全衛生規則第52条の21、じん肺法施行規則等の一部を改正する省令附則第2条、基発0328第15号、確認日:2026年9月6日]
出典
- 1.労働安全衛生規則(laws.e-gov.go.jp)
- 2.労働安全衛生法(laws.e-gov.go.jp)
- 3.労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律(令和7年法律第33号)(mhlw.go.jp)
- 4.小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル(mhlw.go.jp)
- 5.じん肺法施行規則等の一部を改正する省令の公布について(基発0328第15号)(mhlw.go.jp)
- 6.労働安全衛生関係の一部の手続の電子申請が義務化されます(mhlw.go.jp)