ストレスチェックの集団分析は義務?2027年改正と10人未満の扱い
著者・監修 ・ YDAIコンサルティング株式会社 代表
目次
ストレスチェックの集団分析は努力義務であり、2027年4月1日からは個人を識別できない方法で行うことが条文に明記されます。集団分析は、個人の結果を評価するためではなく、一定規模の集団ごとの傾向を把握し、職場環境を考えるための仕組みです。
少人数の部署では、結果から個人が推測されないことを優先する必要があります。この記事では、努力義務としての位置付け、2026年の省令改正、10人未満の集団を扱う際の確認点を、2026年9月5日確認の法令と公式資料に基づいて整理します。
集団分析は努力義務として位置付けられる
集団分析は、ストレスチェック結果を一定規模の集団ごとに集計し、職場のストレス状況を把握する取組です。労働安全衛生規則第52条の14は、集団ごとの集計・分析と、その結果に基づく措置をいずれも努力義務としています。
| 確認する取組 | 位置付け | 主な目的 |
|---|---|---|
| ストレスチェックの実施 | 法令上の実施要件に従う | 心理的負担の程度を把握する |
| 集団ごとの集計・分析 | 努力義務 | 職場の傾向を把握する |
| 分析結果に基づく措置 | 努力義務 | 職場環境を考える |

実施と職場環境改善の関係を早見表で確認する
労働安全衛生規則第52条の14第1項は、事業者が検査を行った場合、検査を行った医師等に一定規模の集団ごとの集計と分析をさせるよう努めなければならないと定めます。同条第2項は、分析結果に基づき必要があると認めるとき、適切な措置を講ずるよう努めなければならないと定めます。どちらも努力義務であり、実施義務と同じ言葉として扱わないことが重要です。[出典:労働安全衛生規則第52条の14、確認日:2026年9月5日]
集団分析の結果は、平均値や経年の比較などにより職場の状況を見るために用いられます。個人の健康状態を事業者が把握するための結果ではないため、個人結果の取扱いと同じ流れに混ぜないようにします。[出典:厚生労働省「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル スタートガイド」§5、確認日:2026年9月5日]
実施結果の報告項目との違い
常時50人以上の労働者を使用する事業者には、労働安全衛生規則第52条の21により、検査及び面接指導の結果等を所轄労働基準監督署長へ報告する義務があります。この報告事項には、検査結果についての集団ごとの分析を実施したかどうかも含まれます。[出典:労働安全衛生規則第52条の21、確認日:2026年9月5日]
報告項目に集団分析の実施の有無があることと、集団分析そのものが努力義務であることは矛盾しません。報告義務、検査の実施、集団分析の三つを別々の根拠条文で確認すると、何が必須かを整理できます。労基署報告の対象は、集団分析の有無だけで決まるものではありません。

2027年の省令改正で明記されること
2027年4月1日から、労働安全衛生規則第52条の14第1項には、集団分析を特定の個人を識別できない方法で実施する旨が加わります。この改正は、集団分析で個人を特定しないという従来の解釈を条文上明確にするものです。
公布日と施行日を確認する
「労働安全衛生規則の一部を改正する省令」(令和8年厚生労働省令第112号)は、2026年6月30日に公布され、2027年4月1日から施行されます。基発0630第2号は、この省令による改正内容と施行日を示しています。[出典:基発0630第2号、確認日:2026年9月5日]
現行の労働安全衛生規則は2026年8月1日施行版を確認しています。改正後の表現を先取りして、2026年中に新しい法定義務が始まったと説明しないよう、公布日、施行日、確認日を分けて記録します。[出典:労働安全衛生規則、基発0630第2号、確認日:2026年9月5日]

個人を識別できない方法とは何か
基発0630第2号は、特定の個人を識別できない方法で集団分析を実施する規定を新設する趣旨を示しています。同通達は、これは従来の解釈を明文化するものであり、特定の個人が識別可能な方法による集団分析は、労働者のプライバシー保護の観点から許容されないと説明しています。[出典:基発0630第2号、確認日:2026年9月5日]
したがって、部署名や属性を細かく分ければよいという考え方ではなく、結果から特定の人を推測できないかを確認します。集団の単位や結果の提供範囲は、実施者との役割分担も含めて決めます。
少人数の集団を扱うときの確認点
少人数の集団では、数値や傾向から個人が推測される可能性が高くなります。結果を受け取る前に、集団の人数、提供範囲、個人結果と混ざらない管理方法を確認します。
10人未満では原則として結果提供を受けない
厚生労働省のスタートガイドは、集団の単位が10人を下回る場合、個人が特定されるおそれがあるため、原則として集団分析結果の提供を受けてはならないと示しています。これは、10人未満の部署について個人を識別しない取扱いを優先するための目安です。[出典:厚生労働省「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル スタートガイド」§5、確認日:2026年9月5日]
少人数であることを理由に個人結果を代わりに受け取ることは、集団分析の目的と異なります。結果の提供を受けないことを含め、個人のプライバシーが保たれる範囲で運用を決めます。

集団の切り方を実施者と確認する
集団分析では、どの単位で集計するかが個人の識別可能性に影響します。事業者は、分析を行う医師等と、集団の人数や分類後の結果から個人が推測されないかを確認します。個別の健康状態を評価するためではなく、職場全体の傾向を把握するための単位として検討します。[出典:労働安全衛生規則第52条の14、基発0630第2号、確認日:2026年9月5日]
結果を提供する側と受け取る側の範囲をあらかじめ整理することも有用です。部署が小さい場合には、人数を前提に結論を急がず、公式資料が示す個人識別防止の原則を優先します。
結果を扱う担当範囲を分ける
労働安全衛生法第104条は、労働者の心身の状態に関する情報を健康確保に必要な範囲で収集し、収集目的の範囲内で保管・使用することを定めています。また、情報を適正に管理するために必要な措置を講じることが求められます。[出典:労働安全衛生法第104条、確認日:2026年9月5日]
集団分析の結果を扱う担当者と、個人結果を扱う実施者等の役割を分けることで、情報の流れを確認しやすくなります。個人を識別できる方法での分析は許容されないという通達の趣旨に沿い、必要な範囲を超えて共有しない体制を整えます。[出典:基発0630第2号、確認日:2026年9月5日]

まとめ
集団分析は努力義務ですが、職場のストレス状況を把握するための仕組みとして位置付けられています。2027年4月1日以降は、個人を識別できない方法で行うことが条文に明記され、10人未満の集団では原則として結果提供を受けない考え方を確認します。
制度の施行時期は50人未満のストレスチェック義務化、結果報告の対象はストレスチェックの労基署報告で確認できます。関連テーマは法令・制度解説にまとめ、記載の訂正や質問はお問い合わせから連絡できます。
よくある質問
- Q. 集団分析は必ず実施しなければなりませんか?
- 集団ごとの集計・分析と、その結果に基づく措置はいずれも努力義務です。ストレスチェックの実施義務や、労基署への結果報告義務とは区別して確認します。[出典:労働安全衛生規則第52条の14、確認日:2026年9月5日]
- Q. 2027年4月1日に何が変わりますか?
- 令和8年厚生労働省令第112号により、集団分析は特定の個人を識別できない方法で行うことが労働安全衛生規則第52条の14第1項に明記されます。公布日は2026年6月30日、施行日は2027年4月1日です。[出典:基発0630第2号、確認日:2026年9月5日]
- Q. 10人未満の部署でも結果を受け取れますか?
- 集団の単位が10人を下回る場合は、個人が特定されるおそれがあるため、原則として集団分析結果の提供を受けないとされています。個人結果の提供に置き換えるのではなく、個人を識別しない取扱いを優先します。[出典:厚生労働省「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル スタートガイド」§5、確認日:2026年9月5日]
出典
- 1.労働安全衛生規則(laws.e-gov.go.jp)
- 2.労働安全衛生規則の一部を改正する省令について(基発0630第2号)(mhlw.go.jp)
- 3.小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル スタートガイド(mhlw.go.jp)
- 4.労働安全衛生法(laws.e-gov.go.jp)