ストレスチェック結果の本人同意とは?事業者への提供ルールを解説
著者・監修 ・ YDAIコンサルティング株式会社 代表
目次
ストレスチェックの結果は本人に通知され、本人の同意なく事業者へ提供してはならないとされています。担当者は、受検案内から結果通知、同意を得る場合の記録までを一つの流れとして整理し、個人結果を扱う人と連絡業務を担う人の役割を分けることが大切です。
同意は、受検そのもののための手続ではありません。本人が結果を受け取ることと、事業者が結果を受け取ることは別の場面です。結果を受け取る側、保存する記録、問い合わせを受ける窓口をあらかじめ区別すると、制度の説明が分かりやすくなります。
根拠と確認日
労働安全衛生法第66条の10第2項、労働安全衛生規則第52条の11および第52条の13を確認しました。確認した版:2026年8月1日施行版。確認日:2026年9月21日。第52条の13第1項は同意を書面または電磁的記録で得ること、第2項は同意を得て事業者が受領した検査結果の記録を5年間保存することを定めています。
| 情報 | 最初の通知先 | 事業者への提供条件 | 保存の確認点 |
|---|---|---|---|
| 個人の検査結果 | 本人 | 本人の同意 | 同意の方法と記録の経路 |
| 同意を得て受領した結果 | 本人と事業者 | 書面または電磁的記録による同意 | 第52条の13第2項の5年間 |
| 面接指導の結果 | 事業者 | 面接指導後 | 第52条の18第1項の5年間 |
| 集団ごとの分析結果 | 事業場の検討担当 | 個人が特定されない形で扱う | 個人結果と別に管理 |
結果の提供は本人同意が分かれ目になる
結果通知と事業者への提供を分けて考える
ストレスチェックの実施後、結果は遅滞なく本人へ通知することとされています。この通知は、本人が自分の結果を知るためのものです。一方、事業者が結果を受け取るには、本人の同意が必要です。結果通知と事業者への提供を同じ手続として案内すると、同意がない場合の扱いが分かりにくくなります。
受検案内では、受検方法、結果を受け取る方法、同意に関する案内をそれぞれ分けて示します。担当者が受検状況を確認する連絡と、個人結果を扱う手続を分けることで、受検者が何に同意するのかを理解しやすくなります。通知封筒やWeb画面の案内を使う場合も、個人結果を誰が開くのかではなく、本人へ確実に届ける経路を確認します。
事業場内で説明する際は、同意の有無を一覧で集計する人と、個人の結果内容を扱う人を同じ役割にしない方法を検討します。受検者から質問があったときに、連絡担当が制度の案内だけを行い、結果に関する相談は決められた窓口へつなぐ流れにすると、担当者ごとの説明の差を抑えられます。案内文、役割表、問い合わせ先を同時に見直すことが有効です。

同意の有無で変わる情報の経路
事業者が受け取る前に確認すること
労働安全衛生規則第52条の13第1項では、事業者への結果提供に関する同意は書面または電磁的記録によらなければならないと定められています。口頭で確認したという運用にせず、どの画面、書面、手順で同意を得るかを実施者や外部機関と確認します。案内文には、同意の対象が事業者への結果提供であることを明確にします。
同意を得る手順では、同意の依頼、本人の選択、受領後の扱いを別々に記録します。担当者は、同意を急がせるためではなく、本人が結果通知と提供の違いを理解できる案内を整えます。事業場内で受け取る予定の情報、受け取らない情報、問い合わせをつなぐ先を表にすると、複数の担当者がいても対応をそろえやすくなります。
書面を使う場合は、配布、回収、保管の担当を分けて確認します。電磁的記録を使う場合は、画面の案内、選択の記録、問い合わせ先の表示を確認します。手段が異なっても、本人が選択する場面と、事業者が受領した後に記録を扱う場面を分ける考え方は共通です。実施者や外部機関との打合せでは、経路図を見ながら役割を確認すると行き違いを減らせます。

保存主体と実施事務の役割を分ける
本人の同意を得て事業者が検査結果を受け取った場合は、労働安全衛生規則第52条の13第2項により、その記録を作成し5年間保存します。保存する場所、閲覧する担当、担当変更時の引継ぎ方法を決め、同意の経路と記録を対応させます。面接指導結果の記録も第52条の18第1項により5年間保存しますが、根拠と作成の場面は別です。
本人の同意を得ていない場合について、同規則第52条の11は、医師等による記録作成と実施事務従事者による保存が適切に行われるよう、事業者が必要な措置を講じることを定めています。事業者が受領した記録と、実施者側で行われる事務を一つの保管ルールに混ぜず、経路ごとに担当と確認事項を整理します。
保存の設計では、ファイル名や保管場所を決めるだけでなく、閲覧を認める担当、担当変更時の確認、施錠やアクセス権限の管理を役割表に記します。保存期間が同じ5年間でも、検査結果の記録と面接指導結果の記録は根拠条文が異なります。記録の名称、作成の場面、確認する担当を分けておくと、次回の実施や引継ぎの際に取り違えにくくなります。

情報を扱う担当者の設計
個人結果と集団の情報を混同しない
個人の検査結果は、一人ひとりの通知と同意の経路で扱います。集団ごとの集計や分析は、職場環境の把握に用いる情報であり、個人結果と同じ一覧や連絡先で扱うと目的が曖昧になります。担当者は、どの情報を個人単位で扱い、どの情報を部署や職場単位で確認するかを、実施前に役割表へ記載します。
集団分析の結果を共有する場合も、個人結果の閲覧へつながる方法にしないことが重要です。部署別の傾向を検討する場と、個人が結果を受け取る場を分けることで、衛生委員会などで話し合う論点を整理できます。集団分析を行う担当、結果を受け取る人、改善を検討する人を決め、個人単位の情報とは別の経路で共有します。
会議の資料を作る人は、個人の通知を扱う担当とは別にし、集団の傾向を確認する目的を明確にします。会議で扱う資料の保存先も、個人結果の記録と分けておくと、後から確認する人が情報の性質を判断しやすくなります。集団の情報を職場環境の検討に活かす役割と、個人への結果通知を支える役割を分けることが、制度の目的に沿った体制づくりにつながります。

職務上必要な情報の範囲を事前に決める
個人結果に触れる人を必要以上に増やさないため、各担当が扱う情報を役割表に記します。受検案内を送る担当は対象者と日程を扱い、実施者は検査の実施と結果の通知を担い、事業者側の担当は同意を得て受領した情報を定めた経路で扱います。役割を分けることで、問い合わせを受けた人が個人結果の内容まで聞き取る場面を減らせます。
外部機関を利用する場合も、連絡担当が担う範囲を説明書で確認します。事業場内の担当者が変更になるときは、保存場所の権限、問い合わせ先、同意の記録の所在を引き継ぎます。情報を扱う範囲を事前に定めることは、担当者を縛るためではなく、本人への通知と事業場の運用を両立させるための準備です。
実施前に小さな確認会を開き、受検案内、同意の案内、結果通知、保存の流れを順に読み合わせる方法もあります。担当者が「受け取る情報」と「連絡だけを担う情報」を言葉で確認すると、役割の重なりが見つかります。制度開始後に手順を急に変えないためにも、決めた経路を実施規程や担当者向けの連絡表へ反映しておきます。

まとめ
本人同意は、本人への結果通知と事業者への結果提供を分けるための重要な手続です。書面または電磁的記録による同意、受領後の記録、保存期間、担当範囲を事前に整理し、個人結果と集団の情報を混同しない運用を作ります。
ストレスチェックの実施体制、対象となる労働者の考え方、集団分析の進め方、面接指導に関する費用の確認も参照してください。
よくある質問
- Q. 同意しないとストレスチェックは受けられませんか
- 受けられます。結果を本人へ通知することと、事業者へ提供することは別の手続です。本人が事業者への提供に同意しない場合でも、結果の通知と実施事務に関する必要な対応は分けて進め、受検案内では同意の対象を分かりやすく示します。
- Q. 上司が個人結果を確認できますか
- 上司が個人結果を確認する前提で案内するのではなく、本人への通知と事業者への提供の条件を確認します。人事権を直接持つ監督的地位にある者は検査の実施事務に従事できないため、連絡担当と個人結果に関わる役割を分け、必要な情報の範囲を事前に決めます。
- Q. 同意を得た結果は誰が保管しますか
- 本人の同意を得て事業者が受領した検査結果は、労働安全衛生規則第52条の13第2項により事業者が記録を作成し5年間保存します。保存先、閲覧できる担当、引継ぎ方法を決め、面接指導結果の記録とは根拠条文と経路を分けて管理します。
出典
本記事の出典は に内容を確認しています。
- 1.労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)(laws.e-gov.go.jp)
- 2.労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)(laws.e-gov.go.jp)